このアクション?プランは、わが国の産業発展のため、品格と創造性を有する人材を育成し、次世代産業の創出?育成に貢献する個性豊かな工学系大学を目指すことを実現するための重要項目を、学長としてまとめたものです。その内容は、九州工業大学の基本方針と経営の基本方針及び経営の基本目標に立脚し、特に経営戦略の観点から重視する項目となっています。経営の基本目標及び経営の基本計画で述べているように、九州工業大学が中期目標?中期計画で掲げている課題や措置と密接な対応を図り、実現を目指してまいります。
アクション?プランは、戦後の大改革以来といわれる国立大学法人化に伴い、九州工業大学が、「着眼高ければ、即ち理を見て岐せず(言志録)」の観点から、時代の要請と地域社会の要請に応えるべき具体的道筋を示しています。その道筋を確固たるものにするためには、執行部が教育研究現場の実情を把握して教職員が共通認識を持てるようなシステムを構築し、併せて教職員が将来展望である経営方針と経営目標及び経営計画との整合性を理解することが重要となります。合理的なシステムによる人的資源、財政的資源のノウハウの蓄積と潜在的能力の発現の可否が、国立大学法人としての将来を左右すると言えます。
現代における大学の重要性は、以前にも増して重要となっています。九州工業大学の本質は教育にあり、研究や社会貢献?産学連携等は質の高い教育を行うための手段でもあります。資源の少ないわが国が諸外国に対抗するには、優秀な人材を輩出し続けることしか途はないと言えます。特に、地方に位置する国立大学法人は、知を拠点とするパブリック?センターの性格を強く有しています。地域社会の期待に応えるためには、九州工業大学が基本理念と良き伝統を堅持しつつ、柔軟でかつ大胆な改革を実践していくことが不可欠となります。このアクション?プランには、このような決意も込めています。今後とも、教育?研究の高度化を図り、世界に向けての知と文化の情報発信拠点であり続けることを目指します。
■教育
工学系大学としてもの創りの伝統があり、これまでに産業界から高い評価を受けている多くの優秀な卒業生?修了生を輩出していると言える。教育の質の程度は、産業界からの評価によって定まると言っても過言ではない。カリキュラムや講座編成にあたっては、外部有識者の意見も積極的に採り入れることに努めるなど、今後も高い評価をどのように維持していくかのシステムを構築することが求められる。特に重要な点は、「不易流行(松尾芭蕉)」の不易となる学問の根幹を教授すること、及び流行に該当する最先端の価値創造を追求する人材育成である。
学生確保
優秀な学生の確保のため、様々な情報発信が従来行われてきたが、さらなる発信?収集のシステム化と活動支援を図る。また、男女共同参画社会で活躍するリーダーとなるべき学生の受け入れと支援を図る。
支援の高度化
きめ細かな勉学指導が必要となることから、指導教員制度の充実を図るため、グループ担任制度や学年主任制度を構築する。オフィスアワーの活用やアクティブな交流により、学生のトータルケア用データベース作成を行い、指導?ケア実施の記録や情報の共有を通じて、教員と職員が一体となったメンタルケア体制を構築する。
授業の在り方
ステークホルダーの最たる者は学生であるとの認識を持ち、学生が魅力を感じる授業を行うため、ピアレビューやFD活動を通した教員相互の研鑚が実施されるよう努める。
単位認定の水準
各学科及び専攻において単位認定の水準を定め、学生への情報公開による周知に努める。
共通教育
共通教育:工学系大学における共通教育の在り方と、社会的状況や外部の要請を考慮した科目群の構成を図る。
教員採用
研究能力と共に、教育指導能力をこれまでよりも重視する。
学内共同利用機関
教育支援の効率化?高度化努力をしている機関に対する支援を強化すると共に、組織の再編を図る。
学生サービス
関係部門の迅速な対応システム構築や就職担当教員の充実も含め、学生及び企業対応窓口の一本化と支援の効率化を図る。
定員の柔軟性
流動する社会的要請や時代の変化に対応した入学定員の柔軟性を図り、併せて教育組織の対応と評価を行う。
■研究
学内プロジェクト公募や外部資金申請などを通じて、世界的研究拠点になり得る研究グループや潜在能力を有した研究グループがかなり存在することが判明。これらのグループを中核として、支援を強化することにより大学全体の活性化を図ることが求められる。
組織化
センター組織としての構築を図ることにより、人的資源、財政的資源の集中化と効率化を図る。
選択と集中
研究分野の選択と集中を促し、強みや特色のある研究組織や教育組織を構築する。
継続性
大型外部資金獲得ノウハウの蓄積と必要な研究テーマの継続性が保持できるシステムを構築する。
競争と協調
各キャンパスにおいて周辺の高等教育機関や研究機関との協調を図りながら、地域における指導的地位を確保するように努める。
学内共同利用機関支援
研究支援の効率化?高度化努力をしている機関に対する支援を強化すると共に、組織の活性化を図る。
■社会と連携
産学連携や地域社会への貢献等が挙げられる。最終目的は学生の育成に資することである点に立脚し、社会的説明責任とコンプライアンス遵守が果たされるよう努めることが求められる。
産学連携
学問の進展の結果として、さらなる外部資金獲得を図り、財政的基盤の強化が質の高い教育につながるように努める。
知的財産
学生の意欲に起因する大学発ベンチャーを支援し、知的財産の取扱い等の教育的支援と実践的支援により、わが国の産業の発展に寄与するように促す。
地域貢献
現代GP(グッド?プラクティス)や魅力ある大学院GP(グッド?プラクティス)、国際貢献事業による採択を支援し、着実な活動を通じて地域の教育の発展と本学のミッションが遂行されるように努める。
産業貢献
社会人再教育やアントレプレナーシップ教育などを通した人材育成の成果として、わが国の産業貢献に資するように努める。
■運営
法人化の意義が教職員に徐々に理解されつつあり、今後もさらなる意識の改革が促されるように努めると共に、中期目標?中期計画の完全な達成が求められる。
意思決定
本学は総合大学に比して規模が小さいため、速やかな全学的合意や機動的かつ戦略的な意思決定を図る。
財政的基盤
効率化係数による運営費交付金への影響を最小限に留めるため、支出見直しによる財務効率化及び広義の外部資金獲得を促すように努める。
組織の在り方
教職員の協力体制及び各組織内での効率化を図り、ステークホルダーの最たる学生を支援する運営体制を構築する。また、事務系組織の在り方を見直し、能力の発揮されやすいシステム体制を構築する。
戦略体制
企画戦略?研究戦略の重要性を考慮し、大学戦略システムの構築を行う。
会議の効率化
全学委員会や部局委員会の在り方を検討し、会議の負担を軽減するように努める。
施設
施設マネジメントの改善と確立を図り、既存施設の有効活用や見直しを促す。