人間とAIの協働社会の実現に向けて
研究室のご紹介 〡 vol.64 表紙より
人工知能(AI)は自動運転や医療診断など、私たちの生活に身近で重要な分野で活用され始め、またChatGPTのような言語AIは一般でも手軽に活用されるようになり、安全性や信頼性がますます重要視されるようになっています。しかし、AIにはデータのわずかな変更で誤作動を起こしたり、訓練データのバイアスによって偏った結果を導き出したりと制御しにくい一面があり、政治的バイアスや倫理的判断の偏りも懸念されています。
竹本和広研究室ではこのような問題に向き合い、AIの信頼性を評価し、問題を解決し、AIを安全に社会で活用するための技術開発に取り組んでいます。これまでも、
- 医療画像診断AIの脆弱性を分析?改善するアルゴリズムを開発し、COVID-19診断支援AIの安全性を向上させる
- 言語AIの政治的バイアスや倫理的判断の傾向を分析する
- 自動運転車の倫理的意思決定について、人間の倫理観とのずれを明らかにする
- AIの安全装置を回避する攻撃手法を発見し、防御の重要性を示す
といった取り組みを行ってきました。これらの研究成果は、AIの問題点を正しく理解し、適切に対処するための基盤となり、人間の尊厳を守りながら、AIの力を最大限に活用できる未来につながると考えています。
私たちの研究は、今後AIの活用が進むに従い、ますます高度で複雑な情報技術が求められる分野です。より安全なAI社会の実現のためにも、私たちが研究している計算アルゴリズムや計算手法を、社会学や法律、心理学などと統合し、新たな学問体系として研究を続けていくことも目標にしています。
飯塚キャンパス
情報工学研究院
生命化学情報工学研究系
竹本 和広 教授