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GCE教育について

GCE教育とは

GCE(Global Competency for Engineer)は、「技術者のためのグローバル?コンピテンシー」であり、「技術者が、グローバル化した社会の中で、自ら持つ知識とスキルを持続的に成長させ、それらを活用しながら、複雑で変化し続ける課題の解決に向けて、積極的に取り組み続ける能力としての行動特性?志向性」を意味します。換言すると、GCEは「グローバル化した社会で活躍する技術者に必要な能力やスキル」です。GCE教育は、グローバルにGCEを有する技術者を養成する教育です。

九州工業大学のGCE教育は、精選された科目の履修を通してGCEを身につけるようなしくみで、学生の皆さんが卒業や修了をするときには、グローバル社会で活躍する準備ができた状態(global ready)となることを目指しています。

獲得を目指すコンピテンシー
(GCE: Global Competency for Engineer)

本学のGCE教育では、グローバルに活躍する技術者に求められるコンピテンシー(GCEの要素)を、次の5つとし、その獲得を目指します。

と定義づけ、これらの能力を身に付けたことを評価し、可視化する方法について、ルーブリックを策定し、システムの開発してきました。

教育方法

1.GCEを獲得する上での5つの特徴的な教育方法

GCEを獲得する教育を実施するために、さまざま取り組みを行っています。本学のGCE教育では、従来の技術の知識やスキルの習得に加えて、現在、次の5つを特徴的な教育方法を柱に据えて、取り組んでいます。

?グローバル教養教育
自分の常識は他人の非常識。グローバルに飛び出す前に、自分を知り、また、相手を少し知っておきましょう。そこで、グローバル社会の背景、課題、歴史を知るために、本学では、グローバル教養科目の修得を必修化しています。具体的には、「グローバリゼーション概要」、「世界の諸事情」「人類共通の課題」、「日本の社会と文化」に関する科目を設置し、幅広く多面的な知識を得られるようにしています。
?語学教育
海外のひとや情報とのつながりには、ことば?語学力は重要です。本学では、能力別の語学クラスを設定し、学生の語学レベルに応じて文法の知識と4技能(読む、聞く、話す、書く)の向上を計る仕組みを構築しています。また、希望者には、全ての学年で語学を履修できるようにしており、切れ目なく語学力の向上が図れます。
?海外実践(海外派遣:海外での学習、就業体験)
実際に海外に行って、学習したり(Study Abroad)、就業体験したり(Work Abroad)する機会を数多く設けており、大学として積極的に海外派遣を進めています。派遣期間はいくつか設定されており、まずは腕試しの短期交流プログラムから、共同研究としての中?長期留学プログラムまでさまざまです。海外派遣プログラムは、1)事前学習、2)海外派遣、3)事後学習(ふりかえり)がパッケージ化され、単なる海外旅行に終わらないところが、ポイントです。また、このパッケージを複数回行うと、グルーバルにたじろがない、いや、わくわくするようになるでしょう。
?留学生との協働学習
国内でのグローバル体験で、言葉や文化が違う留学生と交流するプログラムです。本学は、海外に多くの交流協定校を持っており、多くの留学生が滞在します。その留学生との協働学修で、文化体験や共同活動等を行い、日本にいながら、国際経験を積むことができます。
?アントレプレナー教育
アントレプレナー教育は、起業を想起し、グローバル教育とは違う教育と思うかもしれません。しかし、アントレプレナー教育は、「不連続かつ急激に変化する社会に適応し、予測が難しい未来に向かって、新しい知と社会構造を切り拓くことができる人材」の育成を目指すものであり、現在の技術者は常に、アントレプレナー的思考を持つことが望まれています。また、GCEの要素のすべては、アントレプレナー教育においても獲得が望まれるコンピテンシーです。アントレプレナー教育は、新しい切り口でGCE教育をより強固にすると考えています。
2.GCE教育の可視化
1)GCE教育の達成度の可視化

GCE教育の達成度については以下の表のルーブリックを用いて評価しています。

表を右方向にスワイプしてご覧ください。

Global Competency for Engineers 与えられた機会?課題?活動に取り組む 自分で機会?課題?活動を求める 機会?活動の場を創造する
レベル(人材像) BASIC ≒JABEE国際基準達成レベル SEMI-ADVANCED JABEE国際基準達成 Plus(+) ADVANCED MASTERLY
与えられた課題を通してGlobal Competency for Engineers(GCE)を獲得し、持続可能なグローバル社会の開発?発展に能動的に貢献できる素養を兼ね備えている 持続可能なグローバル社会の開発?発展への貢献に意欲的であり、自らのGCEを研鑽するために、広く学習機会を求めている 持続可能なグローバル社会の開発?発展に貢献するために必要な自らのGCEを認知し、高めるための課題設定ができる 持続可能なグローバル社会の開発?発展に能動的に貢献するために、獲得したGCEを(国内外を問わず)広く発揮し、成長し続ける姿勢を持つ
学部4年の課程を通して身につける 学部のGEコース等の課程を通して身につける 大学院2年の課程を通して身につける 大学院のGEコース等の課程を通して身につける
1.多様な文化の受容 授業を通してグローバル社会にある多様性、グローバル社会が直面する課題を理解し、課題解決のための工学?技術の役割を理解できる(している?) 海外派遣や国際共修などを通してグローバル社会にある多様性、グローバル社会が直面する課題を、より具体的?明確に理解し、多様な文化背景を持つ他者と積極的に関わる姿勢を示している 授業を通してグローバル社会にある多様性、グローバル社会が直面する課題について、自分の専門分野が果たす役割を理解できる グローバル社会にある多様性、グローバル社会が直面する課題について、異なる立場?利害関係などを理解した上で、多様な文化背景を持つ他者と協働している
2.コミュニケーション力 与えられた課題を通して、論理的な思考に基づいた表現力、外国語によるコミュニケーションの基礎能力を用いて、自己表現できる 海外派遣や国際共修などを通して自分のコミュニケーション力を積極的に活用し、多様な文化背景を持つ他者と関係構築している 多様な文化背景を持つ他者と、自分の研究や意見を説得的に主張しつつ協働できる コミュニケーション力を駆使し、多様な文化背景を持つ他者との協働研究?活動に積極的に参加し、自分の専門分野についての情報を発信?収集している
3.自律的学習力 与えられた課題に自主的に取り組み、達成することができる 様々な情報?知識?技術などを獲得するために、学習機会を自分で求めることができる 常に変化するグローバル社会で、最適?最新の専門的情報?知識?技術などを獲得するために、自分で課題を設定し、取り組むことができる より広い活躍の場を求め、自分で学習機会を創設することができる
4.課題発見?解決力 与えられた環境下において、指定されたチームの一員として、諸要件を理解し、課題を発見し、解決することができる 自ら求めた課題を解決にするために協力者を求め、多様な文化背景を持つ他者と協力することができる より専門的な課題を、与えられた環境下において、諸要件を理解し、課題を発見し、解決にするために、多様な文化背景を持つ他者と協力することができる より専門的な課題を自ら求め、課題を解決にするために、多様な文化背景を持つ他者と協力することができる
5.デザイン力 与えられた課題に対する解決方法を、指定されたチームで協力しながら、自分の知識?技術を活用し、デザインできる。 自ら求めた課題に対する解決を、自らが求めた協力者とともに、自分および協働する他者の知識?技術を活用しながらデザインできる 専門的?高度な課題に対する課題解決までの過程をデザインすることができる 専門的?高度な課題に対して、協働する人々とともに、個々の能力を発揮しながら課題解決までの過程をデザインすることができる

(エンジニアとして)多様な文化背景を持つ人々と、言語?非言語など様々なコミュニケーション?ツールを用いて、論理的?批判的に情報の発信?受信し、意味?理解?価値観を協働構築するカ

2)海外実践の効果の可視化

GCE教育の鍵となる、海外実践(において、海外での活動前後でのコンピテンシーの獲得状況や進捗度合いを、「GCEポートフォリオ」と名付けた可視化システムを利用して把握できます。

GCE教育のさらなるステップアップ

本学のGCE教育は、第3期の2016年にスタートしました。

第3期では、GCE教育の根幹となる下記の取り組み[(1)?(3)、3つのC]を確立するとともに、GCEの概念をより体系化した専門的なコースとして、グローバル?エンジニア養成コース(GEコース)を設置しました。

  1. (1)GCEの要素、達成レベル、およびその評価方法の確立(Competency)
  2. (2)GCE獲得のための教育プログラムの開発およびそれらを効果的に実施するための制度設計(Circuit program)サーキットとは、特に海外派遣では、派遣前の事前学習、海外派遣、帰国後の事後学習をパッケージとして、サーキットトレーニングのように、いくつかのパッケージされたプログラムを経験することができるように制度設計しました。
  3. (3)GCE教育?学習を効果的に行うための学習環境の整備(learning Complex):一般的な教室は、無機的で自由度がありません。また、図書館は私語厳禁なところも多いです。自由な発想でアイデアを出し合ったり、考えたり、アイデアをすぐ具現化できるような、学習空間(MILAiS、ラーニングコモンズ、ラーニングアゴラ、未来型インタラクティブ教育棟)や工作室(デザイン工房)、国際交流スペース(ランゲッジラウンジ、グローバルコミュニケーションラウンジ)などを設置しました。

第4期(2022年~)からは、それまで行ってきたGCE教育を振り返り、改善を行うこととして、コンピテンシーのうち「D. 課題発見?解決力」及び「E.デザイン力」をさらに拡充させるためにアントレプレナーシップ教育を導入することとした。また、GCEの達成レベル指標を、より学生の達成度が適切に評価される指標を改訂し、第4期からのGCE教育を「GCE2.0」と名付け推進しています。

*「第○期」は大学の中期計画の期間区分です。文部科学大臣が大学に対して中期目標を提示し、それを受けて大学は中期計画を作成し文部科学大臣から認可を受けています。中期計画?中期目標の期間は6年間が一区切りで、第3期は2016度~2021年度、第4期は2022年度~2027年度です。