更新日:2022.02.24
本学大学院工学研究院 基礎科学研究系の田中将嗣准教授と岡山大学、物質?材料研究機構、および広島大学との共同研究成果が、アメリカ化学会の論文誌「ACS Omega」に掲載され、Supplementary Coverにも選出されました。
本論文は、比較的高い温度で超伝導体となる層状窒化ハロゲン化物TiNClの新しい合成法を報告しています。ナトリウムアミドという試薬を出発物質として用いることにより、従来では不可能であった封管反応による合成を可能としました。超伝導の発現機構を議論する上で重要な窒素同位体効果を調べるために必須の技術であり、本物質のような合成の難しい物質に対して示された成果は、超伝導体となるものが多い窒化物全般へも広く応用できる可能性がある画期的な手法といえます。また光電子分光法によって電子状態を解析し、超伝導発現に必須の微細構造の存在を示唆しました。本物質系での超伝導発見後、20年来未解決となっている発現機構を解明する糸口となることが期待されます。
この論文は2022年2月8日にオンラインで公開されており、2月22日号にてカバーアートとともに刊行されています。
◇掲載論文はこちら (ACS Publicationsサイト)
タイトル | “Synthetic Route of Layered Titanium Nitride Chloride TiNCl using Sodium Amide” |
共著者 | 田中将嗣(本学大学院工学研究院基礎科学研究系 准教授) 片岡範行(岡山大学大学院自然科学研究科 博士後期課程大学院生) 松本凌(物質?材料研究機構ICYS研究員) 犬丸啓(広島大学大学院先進理工系科学研究科先進理工系科 学専攻教授) 高野義彦(物質?材料研究機構ナノフロンティア超伝導材料 グループリーダー) 横谷尚睦(岡山大学 大学院自然科学研究科 教授) |
雑誌 | ACS Omega 2022, 7, 7, pp. 6375–6380 |