機械学習で新しい超伝導物質を探索する
-21世紀版マティアス則の構築-
本学大学院工学研究院の松本 要(まつもと かなめ)教授と堀出 朋哉(ほりで ともや)准教授は、最新の物質データベースと機械学習を用いて、任意の多元系物質の超伝導臨界温度Tcを予測する手法開発に世界ではじめて成功しました。
ポイント
- 機械学習を用いて、任意の3元系物質群のTc分布を網羅的に調べる手法を世界ではじめて開発
- データセットに含まれていない鉄系超伝導体のTcも正確に予測
- Tcが30 Kを超える、あたらしい多くの超伝導候補物質群を発見
今回の予測手法の開発にあたり、超伝導体のTcを理論的に予測することは現在でも大変難しい問題ですが、機械学習で既知のデータを学習することで、未知物質のTcを容易に予測することが可能となりました。例えば周期表から80種類程度の元素を3種類選択するとその組み合わせの数は約8万、さらにそれぞれの組み合わせに関して、異なる組成を数100個程度選ぶとその組み合わせの数は1000万のオーダーになります。しかし、今回開発した手法は任意の元素の組み合わせに対してTcを瞬時に予測することができるため、膨大な3元系物質探索空間を網羅的に調べTcの最大値を予測することを可能とします。
今後、学術的な観点から、これまで探索されていない元素の組み合わせ領域を調べることで、Tcの高い超伝導物質群を発見していくこと、さらには今回の手法を、他の機能性物質の探索にも応用展開していくことが期待されます。
この研究成果は、応用物理学会の学術誌「アプライド?フィジックス?エクスプレス(APEX)」において、2019年6月28日付けで出版されています。(オンライン版は6月12日に公開)
また、本論文はアプライド?フィジックス?エクスプレスの2019年度のスポットライト論文にも選ばれています。
◇スポットライト論文はこちら。(APEX 掲載)
◇詳細はこちら。(プレスリリース本文)
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