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有機ラジカル結晶で30K級の強磁性体を実現!

更新日:2019.01.21

有機ラジカル結晶で30K級の強磁性体を実現!

-世界最高精度の磁気測定技術がそれを証明-

九州工業大学大学院工学研究院基礎科学研究系の美藤正樹 教授らのグループは、有機ラジカル結晶で30K(ケルビン)級の強磁性体の実現に成功しました。

ポイント

  • ?有機物で30K級の強磁性体を世界で初めて実現
  • ?有機物で最高の強磁性転移温度を実現する分子積層構造を解明
  • ?上記の状態が、結晶中の全てのスピンが一方向にそろった理想的強磁性状態であることを実験的に確認

「有機結晶で磁石をつくる」その潜在的可能性をノーベル物理学賞(1977年)を受賞したP. W. Andersonが有名な著書のなかで1963年に指摘してから50年以上が経った今日、有機ラジカル結晶で30K級の強磁性体を実現に成功しました。有機ラジカル結晶は20世紀後半に非常に活発に研究され、20世紀末には非常に多くの有機強磁性体が合成されましたが、それらの強磁性転移温度の多くは1K以下であり、稀に重元素を導入したもので強磁性を示すものでも17Kが最高でした。この度、高圧力環境を利用し、遂に強磁性転移温度が30Kに迫る有機強磁性体を実現しました。

今回の九州工業大学の研究グループの研究成果は、1分子にSe原子を4つ含み、大気圧下で11Kの強磁性転移温度を有する有機ラジカル結晶を等方的に圧縮し、2万気圧の高圧力下で強磁性転移温度を27.5Kまで上昇させることに成功し、またその状態がすべての磁性の種(スピン)が同じ方向を向いた理想的な強磁性状態であることを突き止めたことです。ここで、高圧力環境は有機ラジカル分子の積層構造を操作するために利用されています。本研究で得られた知見は有機分子を用いた機能性材料開発にとって非常に有益であるという事に留まらず、軽元素材料の潜在的可能性を再認識させるという意味で非常に大きなインパクトを与える成果です。



◇本研究成果を発表した論文は米国物理学会誌「Physical Review B」において、2019年1月17日にオンラインで公開され、その特出した研究成果のため”Editors’ Suggestion”に選出され、Highlightsページにおいて紹介されています。公開記事はこちら。(外部リンク:米国物理学会誌「Physical Review B」オンライン)

◇詳細はこちらから(プレスリリース本文)

【お問い合わせ先】
国立大学法人九州工業大学 総務課広報企画係
TEL:093-884-3007
E-mail:sou-kouhou*jimu.kyutech.ac.jp
(*を@に置き換えてお送りください)


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