このたび、九州工業大学大学院 生命体工学研究科/社会ロボット具現化センター(学長:尾家 祐二)、東京大学 生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター(所長:岸 利治)を中心とする研究グループは、自律型海中ロボット「TUNA-SAND2」を開発し、全自動生物サンプリングに成功しました。
発表のポイント
◆通信環境が悪い深海などでは、自律型海中ロボット(AUV)を使って、海底の生物や鉱物などの採取
(サンプリング)ができないことが、長年の課題
◆サンプリングを得意とするAUV「TUNA-SAND2」を開発し、清水沖の自然環境下で全自動生物サン
プリングに成功
◆資源調査や科学調査で、画像や音響データに加え、実物のサンプルを得ることができ、効率的かつ高
精度で資源の賦存量を調査が期待される
これまで、自律型海中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)(注1)は、海底の写真撮影や音響調査で能力を発揮し、海底調査などで新しい発見をもたらしてきました。しかし、通信環境が悪い深海などでは、海底の生物や鉱物などの採取(サンプリング)ができないことが長年の課題でした。
今回、九州工業大学大学院 生命体工学研究科/社会ロボット具現化センター、東京大学 生産技術研究所 海中観測実装工学研究センターを中心とする研究グループは、サンプリングを得意とするAUV「TUNA-SAND2」(注2)を開発しました。
開発した「TUNA-SAND2」は、清水沖の自然環境下での生物サンプリングに初めて成功しました。ロボットは、事前に与えた捕獲対象の生物種の情報をもとに、搭載するカメラで海底面の画像を撮影し、サンプリング対象の生物と判断した複数の画像を、船上の研究者に音響通信で伝達しました。船上から、送られた画像中の対象の画像を指定すると、ロボットは撮影位置に戻り、対象の生物をサンプリングしました。この一連の過程を繰り返し、全自動サンプリングに成功しました。
資源調査や科学調査では、画像や音響データだけでなく、実物のサンプルが求められます。自律型海中ロボットによる全自動画像撮影と全自動サンプリングを実現したことで、今後は、効率的かつ高精度で資源の賦存量を調査することが可能となると期待されます。
本研究は、科学技術振興機構 CREST 研究領域「海洋生物多様性および生態系の保全:再生に資する基盤技術の創出(研究総括:小池 勲 東京大学 名誉教授)」における「センチメートル海底地形図と海底モザイク画像を基礎として生物サンプリングを行う自律型海中ロボット部隊の創出(研究代表者:浦 環 九州工業大学 社会ロボット具現化センター 特別教授)」課題の成果として発表するものです。
(注1)自律型海中ロボット(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)
動力源を持ち、プロペラなどを用いてあらかじめ決められたルートに沿って無索で全自動で海中を観測する装置。
(注2)「TUNA-SAND2」
全長1.4m、重量380kgのホバリング型AUV。音響通信で指定された海底に生息する生物を自動で捕獲することを目的に開発された。TUNA-SAND2には、海底を3次元的にマッピングできる3Dマッピング装置、および海底に生息する生物検出用のカメラを搭載している。2015年の完成以降、オホーツク海水産資源調査、沖縄瀬底のサンゴ礁調査に用いられ、画像マッピングに成果を挙げ、サンプリング機能を強化してきた。
◇詳細はこちらから(プレスリリース本文)
【参考】4月24日記者会見資料1
【参考】4月24日記者会見資料2
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