カニの殻をヒトの医療に?
未来をひらく
新素材をめざして
日本はすでに超高齢社会となりました。
ただ病気を「治す」だけでなく、病気や老化と「共存する」ための医療が必要とされています。
研究内容
事故や病気で失われた組織や臓器の代わりとなる材料や、それらを再生させるための足場となる材料の研究を行っています。
また、抗菌などの特性を持たせる素材も開発しています。体内で細胞の活性や組織の再生を助ける物質や、からだのしなやかさを再現できる物質などを分子レベルで融合させ、いいとこどりの新しい材料を作るわけです。
素材として使用するのは、カニやエビの甲羅からも作られるキトサン。世界中で採れるものなので、誰もが安価に恩恵を受けられるようになると見込んでいます。
課題
医療に関する研究には、動物実験が欠かせません。実験を行わないまま人々に使うことはできないからです。そのために、医療の現場や企業と協力して研究の成果を形にすることが、現在の目標であり課題です。
この研究で、
暮らしはどうなる?
病気を予防できる新しい医療材料が、ドラッグストアのような場所で誰でも手軽に、安く買えるようになれば、人々がより健やかに暮らすことができ、医療費も削減できます。
今後の展望
一般の方や若い方にこの分野へ興味を持ってもらえるものとしては、コスメへの活用が考えられますね。例えば、抗菌作用のある粉体を配合したマニキュアや、気になるところに貼るだけのニキビパッチなどです。
裸足になるスポーツの選手には意外と水虫の方が多いのですが、それと気づかないままほかの選手に移してしまっていたりするんです。塗るだけで抗菌できるマニキュアは、そういった方々にぴったりですね。
また、ニキビ治療は今のところ塗り薬が主流ですが、知らない間に落ちてしまうこともありますよね。そこでシート状の透明な薄膜に抗菌作用を持たせれば、貼るだけでニキビ予防ができるわけです。
研究の魅力
人間が地球上に生きているかぎり無くならない学問だということ。たとえ1つの大発見があっても、10年後には改善すべき点が見つかるので、やり尽くすということがありません。それに、医療は自分自身にも関わることですから、興味も続きますよ。
「生体材料化学」。
人工のものでありながら人間の体になじみ、やがて体の修復スピードに合わせて分解されていくような、人間と共存する材料を研究しています。
必須アイテム
-
■ 白衣実験室で羽織っています。大学での研究は、利益がシビアに求められる企業と違って、知りたいことをじっくり探求できるのがいいですね。
-
■ iPad ProとApple Pencil授業の板書も、学生の課題のチェックもこれ一つ!忘れた日は仕事をする気がしないくらい。デジタルでも、手書きだと頭に残りやすいですよ。
-
■ 研究バインダー学生時代から記録してきた細胞培養の手順を、英語でまとめたもの。留学生にも「これを見といてね」とすぐコピーして渡せるので便利!
1日のスケジュール
起床?筋トレ 体は研究の資本! 病気がちな子どもだったからこそ、体力の大切さがわかります。 |
|
語学レッスン 5ヶ国語ほど習得しましたが、使わなければすぐ忘れてしまいます。継続することが大事! |
|
趣味 忙しくても趣味の時間は確保。たくさんある中から、そのときやりたいことを楽しみます。 |
ライフスタイル
-
■ 趣味合気道、掃除、料理、観劇、旅行、ハンドメイドなど、けっこう多趣味。作ったアクセサリーなどはプレゼントにすることが多いです。
-
■ 子供の頃の夢医者でした。大学の学部生時代に研究のおもしろさを感じ、留学などを経て現在の仕事に。
-
■ 尊敬する人物ポルトガル留学時代の恩師です。3人の子を育てながら仕事もバリバリこなす姿はパワフルで、とても影響を受けました。
-
■ 性格意思が強いです。留学当初は自分のやりたいことを英語で説明できず、ひどく叱られましたが、めげずに取り組んで今では問題なく英語を使えています。
学生の頃に
「しておいてよかった」
もし大学教員
ではなかったら
九工大のおすすめポイント
中高生へのメッセージ
また、「得意なこと」よりも「好きなこと」をぜひ大切にしてください。社会に出れば、「自分よりもできる人」にいくらでも出会うでしょう。それでも頑張れるかどうかは、得意かどうかよりも好きかどうかにかかっています。頑張ってください!
この研究に
興味がわいたら…
ここに入学
- ● 工学部
- ● 工学4類
(応用化学) - ● 工学5類
(マテリアル?金属?環境?宇宙)
- ● 工学4類
ここに進学(2年次?)
- ● 工学部
- ● 応用化学科
- ● マテリアル工学科
さらに極める
- ● 大学院工学府 工学専攻
- ● 応用化学コース
- ● マテリアル工学コース