「パワー半導体」:電気の無駄を
徹底的に無くして2050年の
カーボンニュートラル実現に貢献。

Researcher's Data

Name
大村 一郎
Affiliation
生命体工学研究科
生体機能応用工学専攻
Job Title
教授
Campus
若松キャンパス
研究室についてもっと詳しく知るにはコチラ

「パワー半導体」は電気の電圧を変えてスマホを充電したり、直流を交流に変えてモータを回したりする役割を担っています。身の回りの電化製品や電気自動車ではもちろん、発電した電気を遠くまで送電する場面でも欠かせない存在です。電気の無駄を徹底的に削減できるため、脱炭素社会実現に欠かせない技術と考えられています。

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Name
大村 一郎
Affiliation
生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻
Job Title
教授
Campus
若松キャンパス
URL
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研究内容

パワー半導体を活用して電気の無駄を極限まで減らすことで、今まで熱として捨てていたエネルギーを利用可能にすることができます。例えばエレベータやエスカレータの下降時にはモータを発電機として動かして位置エネルギーを電力に変換します。同じような例は、電気自動車や電車のブレーキ(運動エネルギーを電力に変換)などでも広く用いられています。このような場面で活躍するのがパワー半導体です。
パワー半導体自体も電力を消費するので、パワー半導体の省エネも欠かせません。再生可能エネルギーやバッテリーに蓄えられた電気をさらに有効に使うことが求められているからです。例えばスマホの充電器にもパワー半導体が使われていますが触ると少し熱いことがあります。これは電気エネルギーが熱になって消費されているからです。電気自動車やギガワットの電力システムではパワー半導体の少しの性能の差が熱エネルギーを発生させ、膨大なエネルギーの無駄を招くことになります。そこで、我々は電力の無駄を究極まで削減した(低損失といいます)パワー半導体の開発に取り組んでおり、2018年には超低損失パワー半導体の新しい設計方法の確立に貢献したとして環境大臣表彰を受けました。

 
 

課題

電気のコントロールはどんどんデジタル化が進みます。それに応じてパワー半導体もデジタル対応が必要となってきています。今後は世界に先駆けてデジタル化技術の開発が重要です。また大電力用のパワー半導体といっても顕微鏡で使うカバーガラスのようにデリケートです。電気自動車で使われているパワー半導体のチップは厚さ0.07mmくらいしかありません。半導体チップを実際に電車や自動車に乗せるためには頑丈な入れ物(パッケージ)の開発が重要です。樹脂や金属、セラミックなどの材料を駆使したチップを壊さないための研究が必要です。

 
 

この研究で、
暮らしはどうなる?

再生可能エネルギーの普及は重要ですが、太陽光発電導入のために自然破壊(森林伐採)なども起こっています。究極のカーボンニュートラルは電気の無駄をなくして発電量を大幅に減らすことが重要です。このためには、将来、みんなが持っている電気エネルギーを家庭や社会でシェアし、熱として捨てているエネルギーを大幅に削減することが必要になってくると思います。社会の意識の変化にともなって技術もどんどん進化していきます。パワー半導体の果たす役割がとても大きくなってきます。

 

今後の展望

日本のパワー半導体技術は世界をリードしています。現在企業と一緒に様々な研究をしています。社会の夢の実現には産業界との連携が欠かせません。

 
 

研究の魅力

パワー半導体の分野では、個人のアイデアひとつで一気に性能が向上することがあります。このため若い人にもチャンスがあります。また、持続可能な社会に貢献できることも重要です。さらには機械工学や電子?電気回路などのサイエンスから社会科学(研究をするうえでは社会の要求を正確に理解することが重要!)まで様々な分野とつながって研究できることです。

 
研究を一言でいうと…
「無」。

とにかく電気利用の「無」駄を「無」くすことを追い求めています。

 
 

必須アイテム

  • ■ テスター
    計測の基本アイテムであるテスターを使いこなせることは、電気の専門家の必須条件です。電圧や電流、抵抗を測るのにマストのアイテム。
  • ■ ノギス
    パワー半導体や様々な試作品が寸法どおりにできているかを測るのに使います。
  • ■ 大きな事務用電卓
    単純に大きいと打ちやすいですよね。理系なのに関数電卓は持っていません(笑)
 
 

1日のスケジュール

起床
散歩
愛犬と一緒に。
出勤
仕事開始(メールへの返事や書類作成、調査)。
昼食
実験室などで話をする
会議やゼミ
調べ物、書類作成など
 

ライフスタイル

  • ■ 休日の過ごし方
    二輪で走ります。学生時代からの趣味。冬はスキー。
  • ■ 好きな音楽
    大学時代にオーケストラでトロンボーンを吹いていたので、クラシックとジャズ。それから昔のロックも好き。
  • ■ 座右の銘
    「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」座右の銘というよりは長年の反省の銘です。
  • ■ 特技は?
    篠笛を吹けること。かつて横浜で獅子舞のお囃子をしていました。
 
 

学生の頃に
「しておけばよかった」

勉強。社会に出て「あちゃー」という場面が必ずあります。基礎理解が重要。
 
 

もし大学教員
ではなかったら

企業でサラリーマンをしていたと思います。実際、当初は大学教員になる気持ちはなく、大学院の修士課程を修了したあと企業でプログラマー(SE)になり、その後企業の研究者を経て大学教員となりました。
 
 
 

九工大のおすすめポイント

その気になれば学生でも学長と対話ができます。何をやるにしてもバリアがない寛容な大学です。

中高生へのメッセージ

九工大は良い意味でコンパクトな大学です。なので、専門の勉強も研究もすべて身近に感じられるでしょう。研究分野の異なる先生もお互いに顔見知りなので、一人の先生に相談するといろんな先生とつながって多角的に助言を得られます。
誰かのために何かをしなきゃ、と考えている方、一緒に頑張りましょう。
 

この研究に
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