誰にとっても身近な『酸素分子』
の新たな性質を発見する。
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酸素『O?』。人間の最も身近な分子でありながら多様な物性を秘めており、多くの研究者の興味の対象となってきました。一種類の元素で構成され、常温?常圧で気体として存在する単原子分子?等核二原子分子の中で唯一磁性を持つため、特に磁性を志す研究者にとっては崇高な存在でもあります。酸素分子の新たな性質を明らかにすることで、磁性研究の歴史に足跡を刻むことを目指しています。
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研究内容
原子や分子の凝縮状態は、温度と圧力を変化させることで様々な物性を示します。私たちの研究室では、世界屈指の高圧力下磁気測定技術を確立しており、磁気測定の最大圧力値の世界記録を持っています。その圧力は35GPaにも及び、それは地球上で最も深い海溝として知られるマリアナ海溝最深部の350倍にも及ぶとてつもない圧力(35GPa)です。その技術を用いて様々な元素などの測定などを行っていますが、中でも酸素をテーマにした研究に力を入れています。
当研究室の測定環境(高圧)下では、酸素分子は常温でも固体です。さらに圧力をかけていくと、酸素の物性は、絶縁体→半導体→金属→超伝導体と多様に変化していきます。まさに、電子のつくり出す物性の宝庫で、その中身を理解するには量子力学が必要です。このように酸素分子は、外部環境を変えると様々な性質に変化することはわかっていますが、「室温付近で酸素が固体になる圧力域(6GPa)での磁化の温度変化」や「絶縁体→半導体の際に磁性が消失する境界部分の磁化の温度?圧力変化」はまだ誰も実測出来ていません。研究室では高圧発生装置の中に酸素分子を閉じ込め、圧力や温度を変化させながら、酸素分子からの信号を解析することで酸素の物性を調べています。
課題
酸素を高圧状態で閉じ込める高圧発生装置を独自で開発するなど、この研究室の高圧力下磁気測定技術はどこにも真似できない技術ですが、高圧?低温実験を繰り返しているうちに高圧発生装置に閉じ込められている酸素分子が抜けやすくなってしまいます。また、高圧力下では酸素分子から発せられる信号が小さくなっていくため、その測定がより困難になってしまうことです。
この研究で、
暮らしはどうなる?
1848年に酸素分子が磁性を持っていることを見つけたのは、かの有名なファラデーですが、彼が電磁誘導を見つけたときにも、「今赤ん坊が生まれたばかりで将来は分からない」と答えたそうです。私も酸素の研究については同じ心境です。酸素のあらたな性質を明らかに出来たとしても、それがすぐ何かの役に立つかはわかりませんが、人類の英知を深めるという意味では科学(産業よりの科学ではなく、哲学寄りの科学)の進歩に貢献し、将来、人類が地球外の惑星に進出する際、なにかの役に立つことを願っています。
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今後の展望
数年前に偶然観測に成功した室温付近での酸素凝固に伴う巨大な磁化異常の測定結果を再現し、その酸素の新しい科学を広く世の中に発信することです。成功すれば磁性一般の研究分野における大きなインパクトを与えることが出来ると考えています。
研究の魅力
新しい現象(大発見でなくても構いません)を人類の中で自分が初めて目にすることができること。
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「悩」。
研究費の捻出、今後の研究者としてのあり方、
後世から見た時どうでもよい研究に終始してはいないだろうか?
悩みはつきません(^^;)
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必須アイテム
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■ ダイヤモンド高圧発生装置の重要な部品の一つ(1個約10万円の消耗品)。圧力のかけ方を誤ると砕け散ってしまいます。
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■ 液体ヘリウム-269℃の液体ヘリウムは、低温状態を作り出すための必須アイテム。これもまた高価なアイテムです。すべて輸入に頼っています。
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■ 顕微鏡ダイヤモンドで高圧力を発生させる装置を取り扱う際、非常に細かな作業が要求される(例えばダイヤモンド表面についたゴミを取り除く)ため顕微鏡を使います。
1日のスケジュール
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起床 |
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執筆 前日の日記(コロナ感染者数も記録)を書いた後、少し論文を書く。 |
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朝食 |
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出勤 |
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退勤 |
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少し仕事を片付ける |
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就寝 |
ライフスタイル
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■ 休日の過ごし方近所の温泉に行きます。古賀市にある薬王寺温泉がお気に入り。サウナで無の境地を目指します。
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■ 子供の頃の夢ノストラダムスの大予言「1999年に人類が滅亡する」を信じており、その前になんとか地球から脱出できないか考え続けていました。つまり「地球から脱出すること」が夢でした。
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■ 尊敬する人物寺田寅彦。日常茶飯、森羅万象の事実を研究材料の宝庫として考えていた着眼点と造詣の深さを見習いたいと思っています。
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■ 好きな音楽高貴にモーツアルトと言いたいところですが、QUEEN("Pressure”という楽曲が好きです)。
学生の頃に
「しておいてよかった」
「しておけばよかった」
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もし大学教員
ではなかったら
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九工大のおすすめポイント
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中高生へのメッセージ
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この研究に
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